<背割れ・紙割れはどうして起こるのか>
紙は、水分が少なくなるほど硬くなります。
そうすると紙の弾性がなくなってしまい伸びづらくなり、その結果紙割れが発生しやすくなります。
特に冬場は、低湿度の影響で紙からの水分が抜け、含水率が低くなり紙割れが生じ、
折り割れが発生しやすくなります。
<印刷インキが影響する場合もある>
印刷のインキが背割れの原因となる場合もあります。
油性インキの印刷物は、用紙にインキがしみ込んでいるので折り曲げても
それほど背割れは目立ちにくい傾向にあります。
しかし、UVインキの場合、インキの硬化速度は極めて速く被膜が硬いため、
折ったり曲げたりするとインキが割れやすく、
その結果、紙割れを起こしやすくなる傾向が見られます。
<表面加工の加工種によっても大きな差がある>
印刷後、どのような表面加工を施したかによっても差があります。
①光沢コートやプレスコートの場合
光沢コートやプレスコートの樹脂は比較的柔らかく膜厚も薄いため、
大きな割れは発生し難い傾向にあります。
割れが発生した場合でも、樹脂が柔らかい分小さな亀裂(クラック)の発生に
とどまることがほとんどです。
②UVコートやトランスタバックの場合
UVコートの場合、UV硬化型樹脂は光沢・耐摩擦性が優れている反面、
樹脂は硬いという性質を持っています。
それ故にコートされた層は厚く硬いため、紙割れを起こしやすくなります。
同様に、トランスタバック加工もUV硬化型樹脂を使用しているため
紙割れが起きやすい傾向にあり、これらは割れが発生した場合、
大きくひび割れて目立つ傾向にあります。
③PPラミネート加工の場合
表面加工種の中で紙割れを防止する目的として一番適している加工は、
PPラミネート加工になります。
PPフィルムは柔軟性があり、15~20μの成膜された被膜であるため、
コーティングより厚く強度があり、紙割れは起こり難いです。
<まとめ>
紙割れを防ぐことが目的であればPPラミネート加工がお勧めです。
しかし、コーティングでの対応を希望する場合でも、後工程でのスジ押しの入れ方や、
折りの強さ調整で割れを回避できる方法はあります。
また、予め紙種の選定やデザインを工夫することで紙割れを回避するか、
事前テストを行い不具合を検証し、しっかりと確認しておくことも大切です。