◎製造工程内で起こる印刷物のキズ、どうして起こるのか?
印刷物の擦れによるキズは、印刷面に物理的な力が加わり表面が劣化してしまうことによって生じます。
表面加工中に発生するものもありますが、その多くは次工程の製本作業や製函工程中での擦れ、
また、輸送時の振動による製品同士の摩擦によって生じることがほとんどです。
特に墨ベタなどの色の濃い印刷物やアルミ蒸着紙などは、弱い擦れキズであったとしてもその傷は非常に目立ち、
見た目も非常に悪くなることがあります。これらを防ぐためには一体どのような対策があるのでしょうか?
◎表面加工の中でも擦れキズが付きやすいプレスコートや光沢コート
表面加工の中でもプレスコートや光沢コートは比較的擦れキズが付きやすい加工種です。
対策としてはまず、加工面の滑り性を上げ、擦れに対する抵抗を無くすことでキズを逃げる方法があります。
ただしこの場合、滑り性を付与することで、糊付け適性といった後加工適性を低下させてしまう可能性があるので
注意が必要です。
また、耐摩耗剤が含まれる塗料を使用することで、擦れに強くする方法があります。
この場合には、添加剤が加わることによって光沢度が低下する等のデメリットも考慮する必要があります。
基本的にキズを完全に防ぐことには限界があるので、目的や用途によって加工種を選択することが大切になります。
◎ラミネート加工の場合は?(グロス系フィルムの場合)
印刷の保護という観点からみると樹脂の層が厚いラミネート加工が最も適しています。
しかし、使用されるフィルムがPPフィルムの場合は、樹脂自体が柔らかい系統のものであるため、
使用状態によっては表面に細かな摩擦キズが発生し、透明度が落ち、光沢感が鈍る場合があります。
程度の差ではありますが、PPラミネート品と比較して、PETラミネート品の方が樹脂が固い分、
擦れキズに対しては強い傾向にあります。
◇傷つきにくいPETフィルム「SUPER耐グロス」
通常のPETフィルムよりもさらに傷の付きにくさにこだわったPETフィルムが「SUPER耐グロス」です。
加工中の接触や運送中の振動などによる傷を軽減し、とくにパッケージ用途などにおいて、
ブランド価値の維持・向上に貢献します。
▶▶表面加工でワンランク上のパッケージに!化粧箱における表面加工の注意点とは?▶
◎傷付きやすいアルミ蒸着紙にはUVコートがおすすめ
アルミ蒸着紙はキズが付き易く、かつその傷が非常に目立ちやすい傾向にあり、
キズを防止する有効な表面加工方法としては、UVコートが挙げられます。
UVコートは非常に硬い皮膜を瞬間的に形成するため、耐摩耗性は非常に優れています。
但し、その反面硬い被膜であるが故に、折り曲げ等における割れに対して注意が必要です。
◎マットPPを使う場合は、キズに強いフィルムを選ぶ
艶消しのマットPPも、度々キズの問題が発生しがちな加工種です。
マットPP貼は、その表面が擦れられるとマットの凹凸が損なわれ、光ったようなスジが発生します。
特に墨ベタなどの濃色の多い製品においてはその擦れキズが非常に目立ち、
艶消し加工の持つ高級感が失われてしまう恐れがあります。
対策として、マットPPのフィルムの中でも「耐マットPP」のような
傷がつきにくいタイプのフィルムの使用が挙げられます。
加工中の傷付きが大幅に軽減されるだけでなく、後加工の作業効率の向上にもつながるので、おすすめです。
~まとめ~
いかがでしたか?印刷物の擦れキズは、加工種によって対策もさまざまです。適切な表面加工を選び、
キズを未然に防ぎましょう。