
◎サーマルラミネート加工とは
サーマルラミネート加工は、紙にフィルムを貼り合わせるラミネート加工の一種で、
あらかじめ接着剤が塗布されている「プレコートフィルム」を使用し、
熱と圧力によって貼り合わせる加工のことを指します。
◎サーマルラミネート加工のメリット
サーマルラミネート加工で使用するプレコートフィルムは、
接着層の主成分が主にEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)などで、
ラミネート加工機のニップロールの熱により溶融し、冷却すると固化して印刷物と接着します。
プレコートフィルムの接着層は印刷面への吸い込みがほとんどなく、その厚さも15μ近くあるため、
印刷物表面の凹凸(インキおよび紙の凹凸)に対してツブレが良好であり、
仕上がり不良の原因となる油性印刷のパウダーも覆いこむことができます。
また、冷却直後に接着がほぼ完了し、経時での接着力は向上していきますが
接着層自体が変化することはありません。
そのため、接着剤塗布方式での加工で見られることがある気泡のような仕上がり不良の発生は見られず、
滑らかな光沢のある仕上がりになります。
作業性に関してもサーマルラミネート加工は接着剤塗布工程が無く加工設備が簡易であり、
さらに溶剤の使用も無い為、作業性が良く環境衛生的にも優れています。
▶▶油性印刷のパウダーが表面加工に及ぼす影響とは?▶
◎サーマルラミネート加工のデメリット
接着剤塗布方式と比較してプレコートフィルム貼は、
接着し難い基材(合成紙や蒸着紙等)に対しては接着力が弱い場合があります。
また、加工温度も高くなるため、基材に負荷がかかり、
熱収縮による反りや静電気を帯びる等の不具合を発生する場合があります。
▼蒸着紙
また、乾燥の甘い油性印刷物の場合、その残留溶剤により、
プレコートフィルムの接着層の耐溶剤性が弱いことが影響し、ラミネート後、
端部よりフィルムが剥がれてくる現象が起きることがあるので注意が必要です。
▶▶ 表面加工における「背割れ」「紙割れ」を防ぐには?▶
◎まとめ
接着剤の塗布工程を必要とせず、かつ仕上がりが良好なサーマルラミネート加工。
ただし、プレコート化されたフィルムの使用となるため、フィルムの種類は限定され、
加工種によっては対応できない場合がありますので事前の確認が必要です。