・ 表面加工ができない紙ってあるの?
紙に表面加工をすることで、艶を出したりマットにしたり、あるいは印刷面を保護したりと、さまざまな付加価値を持たせることができますが、そもそも表面加工ができない紙や適さない紙はあるのでしょうか。思わぬトラブルを発生させないためにも、表面加工と紙の関係を見ていきましょう。
・ 塗料が染み込んでしまう『上質紙』
一般に、表面加工を行う紙は、印刷されたコート紙やアート紙等の洋紙、またはカード紙のような板紙になります。それらの紙の表面には、印刷インキがのり易くするためにコート層が施されています。
上質紙などの、表面が粗くコート量の少ない紙は、塗料が紙に染み込みやすいため、光沢コートなどのニスを塗る加工では、うまく艶が出ないことがあります。特に、プレスコートやUVコート(トランスタバックを含む)においては、塗料が完全に吸い込んでしまうと、加工そのものが出来なくなります。
ラミネート加工の場合であっても、上質系の紙は表面が粗く、加工条件によっては、接着層と紙の表層との間に細かな気泡が残り、白く曇ったような仕上がりになる不具合を生じることがあります。特に黒色のケント紙などの加工では問題になることがあります。
よって、上質紙は、加工ができないというわけではありませんが、表面加工がし難い紙の部類に入ると言えます。
・ 『合成紙』にも要注意
ユポなどの石油系合成紙は、紙と比較して強度はありますが、接着や密着のし易さという点では紙よりやや劣ります。また、ポリプロピレンを主原料とした合成紙は、表面加工に必要な加工条件である圧力や熱が高くなるほど、シワの発生や熱収縮によるカール(反り)が発生する恐れがあるので注意が必要です。
▶「合成紙」とは?
・ すでにフィルムが貼ってある『加工紙』への加工
同様に、蒸着紙などのフィルムを貼り合せた加工紙の加工に関しても、加工条件が高くなると、紙の構造が2層であることが影響し、収縮差によるカールやシワの発生を引き起します。加えて、外気の影響を受けて紙が波打つことでその現象が顕著に現れます。更に蒸着紙は、その紙の特性から静電気を帯びやすく、紙同士が疑似的にくっ付き加工を困難にさせる場合があります。
・ 薄すぎる紙や厚すぎる紙
そのほか、極端に薄い紙や厚い紙も、機械のスペックに対応できず加工が難しくなります。
加工可能な厚みとしては、加工機や加工種によっても異なりますが、PPラミネートを例にとると、薄い紙であれば0.1㎜厚以上、厚い紙であれば0.5㎜以下が目安となります。
・ まとめ
これらの紙を取り扱う際は、事前に担当者に相談して頂き、その紙に見合った加工種や加工材料を選定し、適正な加工条件により加工を進めることが大切です。