クリアファイルのカールはどんなときに起こるのか?
クリアファイルは、単体でカール(曲がる)してしまうことはほとんどありません。
中に印刷物(カタログ、ちらし、新聞紙等)を挟み込んでしばらくすると、外側にめくれてしまったり、
曲がってしまう現象が時折見られます。
一体なぜそのような変形現象が起こるのでしょうか?
実はカールの原因はPPの意外な性質と、印刷インキとの関係にあった!
クリアファイルの原料であるPP(ポリプロピレン)は、一般に、酸やアルカリ等に対しては
耐薬品性が良好ですが、 PPと同様の非極性溶剤(例:キシレン、シンナー、灯油等)に対しては、
相互溶解性があり、室内では膨潤(ふやける現象)する性質があります。
その為、印刷物に用いられるインキの溶剤が残留していると、時間の経過と共に
クリアファイルの内面が溶剤により膨潤し、内面のみが伸びてしまうため、カール現象が発生します。
カールはPP素材全般に起こりうるので要注意
これは、PP素材全般に起こりうるものです。
PP製のポスターや雑誌付録、また、PPが貼られた雑誌の表紙など、
身の回りにはPPが使用されている製品が数多く存在します。
それらの製品の製造過程では、PP面が油性などの溶剤に触れないよう、
設計の段階から留意しておく必要があります。
カールさせないための対策は?
このカール現象はPPの基本的な性質に起因するものであり、残念ながら抜本的な解決方法はありません。
しかし、以下のように挟み込む印刷物に手を加える事で、カール現象を抑えることができます。
1.印刷を、溶剤を使用しないUV硬化型の印刷方法に変更する。
2.印刷物の表面にフィルムを貼り、溶剤成分の揮発とクリアファイルの内面が直接触れないようにする。
3.印刷物のインキ溶剤を完全に揮発させる。
クリアファイルに印刷物を挟み込む必要がある場合、上記の方法を配慮して頂くことが最良の対策と考えられます。
※シーダム株式会社「ポリプロピレンシートの技術資料」より一部引用